プロスペクト理論が示す人間の弱さ

プロスペクト理論が示す人間の弱さとトレーダーの弱点とは

投資は人間の心理に大きく関わる

認知心理学や行動心理学の勉強はトレードや投資にとってとても有益です。人間はその脳を使ってあらゆる事を判別し、実際の行動に移すわけですが、それが常に正しいわけではなくまた、合理的であるとも言えないのです。

認知・行動心理学を特に投資へと融合させた新しい分野として「行動経済学」というものがあります。そしてその中でとても有名な理論に「プロスペクト理論」というものがあり、このプロスペクト理論の考案者はノーベル経済学賞も受賞しているのです。

プロスペクト理論を簡単に説明すると、「人間は利益を手に入れようとする時はリスク回避思考が強まるのに対し、損失を防ごうとする時はリスク選好型になる。」というものです。これを具体的な投資の場面にあてはめると次のようなシチュエーションとなります。

損失を防ぐには株の売却タイミングが重要

ある株式を購入し保有し続けていると徐々に値段が上がり10%の含み益となりました。するとこの投資家の頭には次のような考えが浮かぶのです。「早く利益確定しないと今度は値が下がってしまい含み益が全部吹っ飛んでしまうかもしれない。せっかく勝てるチャンスなのにそれはもったいなさすぎる!」と。

逆にまた別の株式を購入した人は値段が下がってしまいマイナス10%の含み損になってしまったとします。この時彼の頭にはこのような考えが浮かんでしまいます。「このまま保有し続けていればまた値は戻るだろう。戻ったところで売却すれば損は防げるし負けにならない!」と。

人間の心理を実験形式で確認してみよう

多くの人に次のような2つの質問をしてみるという実験が過去に行われました。1つ目の質問は次の通りです。

「次の二つの選択肢から一つを選んでください。①無条件であなたは10万円を手に入れる。②コインを投げ、表が出たら25万円手に入るが裏が出たら1円も手に入らない。」

そして1つ目の質問は次の通りです。

「また次の二つの選択肢から好きな方を一つ選んでくださいね。あなたは現在25万円の借金があると仮定します。①無条件で借金が10万円に減額される。②コインを投げ、表が出たら借金が0円になるが裏が出たら借金は25万円のまま。」

いかがだったでしょうか。あなたなら一つ目の質問と二つ目の質問、それぞれどちらの選択肢を選びますか?

実は多くの人は一つ目の質問では①を選び、二つ目の質問では②を選ぶのです。よくよく考えてみれば分かるのですが、それぞれの質問で期待値が高いのは②と①です。しかし、それにも関わらず多くの人は逆の選択肢を選んでしまうのです。これがプロスペクト理論であり多くの投資家が相場で最終的に勝つことのできない心理的な要因となっているのです。